夢をしっかりと追おうとして、わくわくの次に感じた感情が恐れだった。
それはやがて「めんどうくさい」という感情になりそうになることもある。
おそらく、恐れから心を守る手段なのだと思った。
「10年ぶりに個展をやろう」
そう思った2024年の年末近く。その瞬間は頭のなかで妄想を繰り広げてはわくわくしていた。
そこからリアルなスケジュールや、やるべきことを書き出していくうちにそれは訪れた。
怖い。
怖い理由ならいくらでも見つかった。
「誰も来てくれないかも。来てもらっても失望されたらどうしよう。
世の中にはもっとすばらしい作家さんたちがいるのに。
私のために時間や交通費をかけていただくなんて申し訳ない。。」
うんぬんかんぬん。
今までだったらその恐れに勝つことができず、
誰にも知られないうちに計画をもみ消してしまっただろう。
でも、今年の私はちょっと違った。
自己理解を深めた2024年。
世の中に自己理解を広める活動をされている八木仁平さんも、YouTubeで再三おっしゃっていた。
「本当にやりたいことは、やろうとすると怖くなる」
だって、それが本当に大切だから。
仁平さん経由でそのことを知ってしまった私が、
この恐れがどうして湧いてきたのかわかってしまった。
そしてさらに、2024年から2025年の年始にかけて読んだ書籍も私の背中をおした。
世界的な名著「アルケミスト」
私の尊敬する女性のおひとり、カモチリナさん。
リナさんをひと言で表現するのが最近難しいので、ぜひインスタグラムをご覧になってください。
すごくチープに聞こえてしまうかも、でも、本当に、、やさしい世界を作れる方だと思う。
そんなリナさんがおすすめされていたのがアルケミストで、どんなお話なんだろう?とドキドキしながら、ゆっくり噛み締めて読み進めた。
最初の部分はさぐりさぐり読んでいたものの、だんだん話も佳境に入ってきてからが大変。
宝物のような「金言」の数々で、この書籍が「アルケミスト=錬金術師」である理由がわかった気がした。
この本そのものが金のような存在なんだ。
宝物を探しに行く少年の目線を通して、夢を追うひとのあり方を教えてくれるような書籍。
書籍に直接ラインを引くのは慣れてなくて、いちいち気に入ったフレーズをメモしていたら大量になってしまった。
読みを終えてからメモを見返すと、びっくり。
今の自分の背中を押す言葉があふれていて、ちょっと涙すら出そうになった。
私のメモしたフレーズを7つご紹介…(厳選してもこれだけあった)
夢の追求の過程で、彼はやる気と勇気を常にテストされていた。あせってもいけないし、いらいらしてもいけなかった。
もし、衝動に駆られて先を急ぐと、神様が道すじに置いてくれたサインや前兆を見落としてしまうだろう。
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そこにたどり着くために学んだすべてのことが意味を持つために、おまえは宝物を見つけなければならないのだ。
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人は、自分の一番大切な夢を追求するのがこわいのです。自分はそれに値しないと感じているか、自分はそれを達成できないと感じているからです。永遠に去ってゆく恋人や、楽しいはずだったのにそうならなかった時のことや、見つかったかもしれないのに永久に砂に埋もれた宝物のことなどを考えただけで、人の心はこわくてたまりません。
なぜなら、こうしたことが本当に起こると、非常に傷つくからです。
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「傷つくのを恐れることは、実際に傷つくよりもつらいものだと、おまえの心に言ってやるがよい。夢を追求している時は、心は決して傷つかない。それは、追求の一瞬一瞬が神との出会いであり、永遠との出会いだからだ」
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本気で宝物を探している時には、僕はその途中でたくさんのものを発見した。それは、羊飼いには不可能だと思えることに挑戦する勇気がなかったならば、決して発見することができなかったものだった。
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「もし、自分の運命を生きてさえいれば、知る必要のあるすべてのことを、人は知っている。しかし夢の実現を不可能にするものが、たった一つだけある。それは失敗するのではないかという恐れだ」
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「でも、僕ができなかったら?」
「その時は、おまえは夢を実現する途中で死ぬのだ。それでも、自分の運命が何か知りもしない何百万人よりかは、ずっと良い死に方なのだよ。
(いずれも)アルケミスト 夢を旅した少年 ーパウロ・コエーリョ著
ううん、胸にグサグサくる。
10年ほど前に、会社員をやりながら夢を追う決意をした。
最初の決意は、決意というにはあまりにもひよっこだったけれど、その夢がちょっとずつ雪だるまのように大きくなって今に至る。
夢を追う過程は、けして楽しいだけではなかった。
苦しくて、もう辞めてしまおうなんていうのは、数えきれないほど思ったし、
そのうちの何回かは爆発して夫にも散々迷惑をかけた。
でも振り返ってみれば、たしかにスムーズではないけれど、その過程で得たものは私にとってはかけがえのない宝物だ。
得たものはスキルだけじゃない、途中途中で感じた感情・感覚、心の動き。
そういったものが私の五感に染み付いている。
どうして宝物を見つけるのに、こんな遠回りをしなくちゃいけないんだろう?
それは、それこそが人生の醍醐味だからなのかもしれない。
仮に宝物に辿り着けなかったとしてもいい。
なにも目指さない道中よりも、きっと色濃い時間を過ごせたに違いないから。
・・・。
アルケミストの金言を前に、それでも私は個展の準備に恐れ慄いている。
うんうん、もうそれでいい。こわくていい。とうぜんさ。
私の宝物を探す旅はまだ始まったばかり。
じゅうぶんにこの時間も味わっていけたらいい。
こわいけどね。
acoco
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