魔法はたいてい”めんどくさい”

エッセイ

先日、久しぶりにYouTubeに動画をあげた。

年初めにオーダーいただいたウェディングベールの制作風景に、
季節の移ろいを挟み込んで「制作期間3ヶ月」のイメージを伝えたいと思った動画だった。

雪が降り積もる季節から作り始め、完成する頃には新緑や花が綻んでいた。

その動画にコメントがひとつ。

メッセージの中に「魔法の手ですね」と書かれていたのが嬉しくて、ちょっぴり舞い上がってしまう。

刺繍を仕事にするとなると実感するのが、何をやるにも地道な積み重ねだなぁということ。

ハリーポッターみたいに杖をひと振りでできる魔法は、私の知るかぎり現実世界にはたぶん、ない。

現実世界にある「魔法みたいなこと」は、だいたい見えないところで誰かが地道に手を動かしている。

veil:”Native forest”

魔法はたいてい”めんどくさい”

この言葉のインスピレーションとなったのは、あるドキュメンタリー番組で宮崎駿監督が言っていた名言(私にとって)だ。

「大事なことは、たいていめんどくさい」

彼はアトリエで手を動かしながら、口から出るのは「めんどくさい」。

「あーめんどくさい、めんどくさいよ」と言いながら、ペンを走らせている姿が印象的で魅力的だった。

僭越ながら、その気持ちがちょっと分かる気がしている。

新作を作るとき、何かをやり始めるとき、こだわりを形にするとき、
必ずと言っていいほど付いてくるのが「めんどくさい」という感情。

作り手ってずーーっと楽しく作ってる、とも限らない。

時には心揺らいで「ちょっと楽な方向に…」なんて頭をかすめることもあるけれど、
本能では「めんどくさい」を越えた先に、素敵な魔法が待っていることを知っている。

だから、口に出すかどうかは別にしても、「めんどくさい」を乗り越えて進もうとする。

veil:”Native forest”

「魔法はたいてい”めんどくさい”」

この言葉に、何度背中を押されただろう。

今も新作と向き合って、あーでもないこーでもない、あぁめんどくさい…と、もがいている。結局それが楽しいのだ。

YouTubeの新しい動画の構想もあるけれど、あぁめんどくさいなと思っていて。笑

でもいずれは形になる。それが創りたがりの性(さが)である。

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